2018.06.18
No20 原産地直送、グアテマラのカカオを使って仏菓子職人とフォンダンショコラを作ろう
藤枝市天王町にある、フランス菓子beaucoup beaucoup(ボクゥボクゥ)さんです。
店内に足を踏み入れると甘い何とも言えない香りにつつまれます。
今日は、原産地直送のグアテマラのカカオを使ってフォンダンショコラを作ります。
まずは office SABASABA(サバサバ)實石さんのおはなしから。SABASABAさんは、地球と共に生きていくために「何が必要で、何が必要でないか」「どこに向かい、どう歩んでいくべきか」日々の暮らしの中で今一度問い直し、仕事・食・旅をテーマにビジネスを通じて、こころ豊かな日常生活を提案されています。
カカオは、むかし、お薬だったり、マヤ文明のころには、お金と同じような価値があったそうです。にわとりとカカオを交換!のようなかんじでしょうかね…。
カカオ、カカオと言ってますが、これはカカオ豆のことです。カカオ豆は手作業で収穫します。カカオポッドというラグビーボール大の実から、かたい殻を割って、カカオ豆を取り出します。一つの実から20~50個取れるそうですよ。それをバナナの皮や、箱に入れて発酵させ、他にも幾つかの過程を経て、チョコレートの芳香や風味に変わる大切な成分が育っていくそうです。
いまだ、カカオの生産者には中間マージンが差し引かれた、低い賃金のみしか渡らないといいます。SABASABAさんはそういった生産者の状況を変えたいと考え、契約農家と直接やり取りする方法を選ばれています。直接取引することによって、栽培場所も見ることができますし、生産者にも正当な賃金を渡せ、買う私たち、消費者側にも正しい情報が与えられる、とおっしゃってました。そのような、倫理的に正しい商売をしようという思いは、農場を持って、生産者を守る、という思いにまで大きく育っているそうです。
さあ次は、beaucoup beaucoupさんに教えてもらうフォンダンショコラ作りです。beaucoup beaucoupの多々良さんはフランスで修業されていたフランスの伝統菓子の職人さんです。
実際にカカオの芯をとって、それをつぶすところから、始めます。
なめらかなチョコレートにするには、大きなすりつぶしローラーでやらなければならないそうですよ。今回のフォンダンショコラ作りには、カカオのすりつぶしはブレンダーを使いました。カカオだけでは、脂分が足りないので、カカオバター(おうちで作るときには無塩バター)を入れ、トロっとするまで回します。粉糖を入れ・・と今回はここまで。
ここから先は、beaucoup beaucoupさんが型に入れて焼いてくださったものを瞬間冷凍保存して、出来上がりを後日お持ち帰りしていただくことになっています。
自分でゴリゴリする体験として、すり鉢でもすりつぶし体験!
さて、作業がひと段落したところで、お楽しみ休憩タイム。コーヒーと、食べ比べができるように考えてつくってくださっていたチョコレートアイス2種類をいただくことに。ひとつは、いつもbeaucoup beaucoupさんが使っているチョコを使用したもの。もうひとつはグアテマラのカカオを使ったもの。いただいたコーヒーもグアテマラのコーヒー(東京世田谷にあるカフェテナンゴさんがご自分で買い付けに行っているお豆だそう)ですよ。とても良い香り。
そして、事前に作っていただいていた、フォンダンショコラの試食も!
ここからはレポートというより個人的な雑感ですが…。
ペルー産のチョコと、グアテマラのチョコを使ったフォンダンショコラ。私もちょっと食べ比べをさせてもらいました。口に入れた瞬間に、違いが分かります。ペルー産のチョコは資本がある大きな会社が管理し、品質もよいといいます。いわゆる私たちが普段食べているチョコに近い味です。チョコの王様のような、ぱあっと太陽が照り輝くようなおいしさでした。またもう一つの、グアテマラのチョコを使用したものは、野性味!?があって、なぜか口に入れた瞬間、以前、旅行に行ったモンゴルの草原(私的な感想で申し訳ないのですが)が、なぜかよみがえってきました。一瞬で草原を旅したというか。ほろ苦さとうまみ(というのでしょうか)が同居しているなんとも味わい深い、チョコでした。ひとつのチョコレートから、こういう想像の旅にまで連れて行ってもらえるような味覚体験をするのは初めてだったので驚きました。脳裏にそれくらい、何かを刺激してくれるような、チョコの食べ比べ体験でした。(あくまでも私的な感想です~!)
チョコって実に深い食べ物なんですね…。
こちらは、お土産のグアテマラの手仕事、丁寧に模様が編み込まれたコースターです。とてもカラフルな色合いが楽しいです。
…先ほどカカオのすりつぶしの話が出ましたが、工場では、大きな機械(ローラー)でもすりつぶし、滑らかになるまで1,2日かかるものなのだそう。手ですり鉢を使って、では到底なめらかにはできません。じゃあ、機械化されていない昔はどうやって…?と思っていたら、昔は奴隷にやらせていたのでしょうね…と多々良さんの一言を聞いた瞬間、美味しさの追求、経済効果優先のうらにある、苦しみの歴史が浮かび上がりました。そして、今は奴隷ではないにせよ、生産者への処遇にこのままではいけないんだというSABASABAさんの思いが活動の核としてあるんだと感じました。
お菓子の時間が、甘くて幸せな気持ちを運んでくれる、その原料から思いをはせること、貴重な一粒をいただいてるんだなーと心にしみた体験でした。ありがとうございました。
SABASABAさんHP https://office-sabasaba.jimdo.com/
beaucoup beaucoupさんFB https://www.facebook.com/beaucoupbonheur/
(山田愛)