2018.06.18
No.22 みちくさ探偵の冒険 アースダイブに挑戦 志太の古代地形を探れ
みちくさ探偵こと増田あきらさんは、藤枝おんぱくをはじめ、菊川おんぱくや焼津おんぱくなどでもまちあるきの案内人を勤めるまちあるきのスペシャリスト。
テーマを定め、趣向を凝らし、エンターテイメントを盛り込んだまちあるきには、頻繁に参加するリピーターもいるほど。かく言う自分もそのひとりです。
今回のまちあるきはアースダイブ? 志太の古代地形? アプリと連動? 果たしてその全貌とは!? ということでレポートを開始します。
5月某日、藤枝駅南のBiViキャン(静岡産業大学サテライトキャンパス)に集まったのは6名の冒険者たち。みちくさ探偵から今回のまちあるきの説明を受けると、さっそく出発! 快晴の空の下、まずは西へ向かう御一行。
参加者は配られた地図を広げ、みちくさ探偵から解説を聞きながら進みます。それにしても、みちくさ探偵が持っているクーラーバッグが気になる…
しばらく歩くと最初の目的地、藤枝最南端の山、「熊野山」に到着。この付近は旧石器時代から人が住んでいたらしい。
熊野山は小さな山ですが、登ってみると島田・牧之原を見渡すことができました。みちくさ探偵の解説によれば、縄文時代の人々は水害から逃れるために高台・丘陵地に住居を構え、大井川流域最大の集落が牧之原台地にあった、とのこと。
原始・古代は現在とは地形が違い、藤枝の市街地は、かつて入り江・浦だったと推測されています。そういえば、「大昔は海面が高くて、この辺りも海だった」なんて話を小学校で聞いたことがありました。
…ここで、今回のまちあるきに導入された「まちクエスト」というアプリについて説明しましょう。
「まちクエスト」は地図上に表示されたクエストというチェックポイントに近づくと、その場所にまつわる問題が表示され、正解すると詳しい解説=知識を得られる、というもの。
このアプリを使い、自由に単独でまちあるきができる「クエストハンティング」が藤枝おんぱく2018期間中に開催されていました。
熊野山にもクエストがつくられていましたので、実際にやってみましょう。
レーダーを頼りに、クエスト(チェックポイント)に近づき、設定された距離内に入ると、問題が出現。後は解答するだけ。みなさんもぜひやってみましょう!ちなみにみちくさ探偵のクエストは、周辺ををじっくり探すと必ずヒントが隠されていました。
…さて、リポートに戻ります。次に訪れたのは熊野山から少し北に位置する「岩城神社」。ここは古墳群が18も密集していたのだそう。また、この地区の「青島(アオジマ)」という地名には、古代語で「先端」「異界」という意味が含まれているんだとか。つまり、かつてこの地が岬の先端だったことに由来しているというわけです。
ここでお待ちかねのランチ休憩。例のクーラーボックスの中身はベネチア食堂特製の「縄文サンドイッチ」でした! みちくさ探偵曰く「固めのパンや具材は縄文人が食べていたものをイメージした」とのこと。食べ応えがあってお腹いっぱい! おいしかったです! ごちそうさまでした!
腹ごしらえが済んだところで、再出発。線路を渡り、国道1号線方面に向かうと、お次に訪れた場所は、なんとホームセンターの屋上駐車場!わざわざここへ来たのは、今は亡きこの付近にあった山へバーチャル登山するため。みちくさ探偵のまちあるきは毎回思いもよらぬところを通るのが楽しい!
その後も冒険は続きます。
遺跡の上に建てられた青島小学校、古墳の主を祀る珍しい社、鏡池の龍伝説、 全国に約80ある烏帽子山の中で最も低い烏帽子山、かつて山であった名残のある緩やかな坂道、巨大コーン、などなど。この辺りはどこもかしこも遺跡ばかり。長年藤枝に暮らしていても知らないことが盛りだくさんの道中でした。
そして、ついに最終目的地の「志太郡衙跡(しだぐんがあと)」に到着。藤枝の遺跡といったら、ここを外せません。
「郡衙」とは奈良・平安時代(約1300〜1100年前)の役所。当時の日本には約600の郡衙があり、現在、その位置の特定は非常に困難。その中で志太郡衙は郡名や郡司(役人)の官職名が書き込まれた土器が出土したことから郡衙跡であること証明された貴重な遺跡なのです。
志太郡衙は国指定史跡で、発掘された建物が復元され、資料館も併設されています。ちなみに当時の人々は船で郡衙に乗り付け、税として鰹節などを納めていたんだとか。
総移動距離約5km。縄文時代から平安時代までの遺跡を巡った1万年ほどの時間旅行はこれをもって終了。
この日辿った遺跡からは富士山を見ることができました。大井川流域を安住の地とした太古の人々は富士山を目印にして移動して来たに違いない、とみちくさ探偵は語ります。
「アースダイブ」とは、遥かに昔に暮らしていた人々の営みや自然豊かな風景に想いを馳せること。
1万年前の人々は、現代に生きる僕たちと同じように、富士山を美しいと思っていたのだろうか。
(オカムラナオト)